2009年 04月 12日
NHK大河「天地人」の嘘っぱち
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▽ 「こりゃーヒドい。一言書かなきゃ」と思って久しぶりにブログを書いてみる。正月以来のご無沙汰だった(^^ゞ
▽ 今夜夕食の際、たまたま大河ドラマ「天地人」の時間だったので、食べながら観ていたが、ストーリーの余りの逸脱ぶりに、情けなさというか、やるせなさというか。何とも哀しい気分になった。
▽ 確かに、歴史は一つではない。史実は一つかもしれないが、歴史は一つではない。大学で史学を専攻した自分には、それはよく分かっているつもり。一つの事実に対し、立場が変われば歴史は変わる。しかし、NHK大河ドラマは史実すら描いていない。これが国民から受信料を取り立てて作るほどのものか。本当に情けない。
(長くなるので、続きは下記から・・・)
▽ 天地人の主人公は言うまでもなく上杉景勝・直江兼続主従である。彼ら主人公を悪者にしたくないドラマ制作側の意図はよく分かる。しかし、上杉謙信死後の上杉家の内乱「御館の乱」は、大河ドラマで描かれたようなものではなかったはずだ。美談に仕立て上げるにしても、もう少し現実に沿ったものに出来なかったのか。ひどい脚本で、呆れてモノが言えない。
▽ 御館の乱は、北条家からの養子景虎と、上田長尾家からの養子景勝との跡目争い。北条家は上杉家へ影響拡大を狙い当然景虎を支援。北条は当時姻戚関係にあった武田からの支援も期待したが、当主勝頼はなぜか景勝を支援。武田に牽制された北条は身動きが取れなくなり、北条からの援軍を得られなくなった景虎は孤立して敗れた。
▽ しかし、だからと言って景勝側ガ一枚岩だったかと言うとそうでもない。そもそも長尾家は一門同士の権力争いの歴史が長い。長尾景虎(後の謙信)も、兄を幽閉して当主に就いたほどだ。上田長尾家(当時の当主は政景=景勝の父)はその頃から長尾家からの独立色が強かった。長尾家が一門で争う結果、越後国内の豪族たちも合従連衡の日々だった。こんな状態の越後が統一されたのは、偏(ひとえ)に謙信のカリスマ性によるものであり、謙信没後は元の豪族連合体に戻っていたというのが実情だったのだろう。
▽ そして、御館の乱である。NHKの大河ドラマは万事「きれいに描きすぎ」である。
(1) 景勝の生母・仙桃院が「跡目争いが全面戦争にならないように自分が御館に居ることによって盾になる」と、景虎の元に居続けたと言う。現実、そんなはずがあるわけがない。もしもそういうことがあるなら、景虎は景勝の生母を人質に取っただけだ。それを「美しく」描こうとするから、こういう苦しいウソが必要になる。
(2) 景虎はついに降伏を決意し、一子道満丸を人質に差し出すが、道中何者かに襲われ落命する。これを兼続は「恐らく北条方の・・・」と言っていたが、そんなはずはない。実際にドラマで描かれていたように、景虎の降伏受け入れをよしとしない豪族も景勝側には多かったに違いない。もしも道満丸がそのような形で殺害されたのなら、景勝側の意図だったと見るのが自然だ。しかしそうストレートに描いてしまうと、主人公・景勝側に暗い影が差すため、「北条の仕業で」という、いかにも苦しい設定にしたのだろう。
▽ 今日見ただけでも、このようにいくつもの苦しいウソが見つかっている。この調子で全篇を見たら、僕は気が狂ってしまうだろう。。。
▽ 先日、電車の中で女子高生が「真田幸村のお姉さんって、織田信長に仕えていたんだねー」と話していた。そんなわけねーじゃねーか (ーー;) と思っていたら、どうやらそれも「天地人」の影響らしい。
▽ ドラマを通じて歴史上の人物・出来事にスポットライトが当たることは嬉しい限りだ。しかし、だからといってウソはいけない。いや、多少の脚色はいいとしても、せめて「フィクションです」とどこかに分かるようにしてほしいものだ。
▽ 大河ドラマが篤姫で「俗世ドラマ」化して、高視聴率を挙げたのは知っている。それに続きたい気持ちも分かる。しかし、NHKさん、忘れないで欲しい。あなたが扱っているのはあくまでも「歴史」なのです。史実を曲げてまで、視聴率のために歴史を「創作」しないで頂きたい。
▽ そんなに視聴率って大事なんだろうか。NHKという公共の電波の視聴率が高い必要があるんだろうか。そもそもNHKが「娯楽ドラマ」をやる必要があるんだろうか。お堅いドラマ、シブいドラマ、考えさせられるようなドラマ、楽しく学べるようなクイズ番組じゃ、なぜダメなんだろう。NHKの在り方そのものが問われる。
▽ しっかし、長沢まさみって、なんでいつも「忍び」なの? 功名が辻でも、同じようなわけの分からない架空の役を演じていなかった? 演じているご本人、せぞや複雑と思うんだけど・・・(-_-;)
▽ 今夜夕食の際、たまたま大河ドラマ「天地人」の時間だったので、食べながら観ていたが、ストーリーの余りの逸脱ぶりに、情けなさというか、やるせなさというか。何とも哀しい気分になった。
▽ 確かに、歴史は一つではない。史実は一つかもしれないが、歴史は一つではない。大学で史学を専攻した自分には、それはよく分かっているつもり。一つの事実に対し、立場が変われば歴史は変わる。しかし、NHK大河ドラマは史実すら描いていない。これが国民から受信料を取り立てて作るほどのものか。本当に情けない。
(長くなるので、続きは下記から・・・)
▽ 天地人の主人公は言うまでもなく上杉景勝・直江兼続主従である。彼ら主人公を悪者にしたくないドラマ制作側の意図はよく分かる。しかし、上杉謙信死後の上杉家の内乱「御館の乱」は、大河ドラマで描かれたようなものではなかったはずだ。美談に仕立て上げるにしても、もう少し現実に沿ったものに出来なかったのか。ひどい脚本で、呆れてモノが言えない。
▽ 御館の乱は、北条家からの養子景虎と、上田長尾家からの養子景勝との跡目争い。北条家は上杉家へ影響拡大を狙い当然景虎を支援。北条は当時姻戚関係にあった武田からの支援も期待したが、当主勝頼はなぜか景勝を支援。武田に牽制された北条は身動きが取れなくなり、北条からの援軍を得られなくなった景虎は孤立して敗れた。
▽ しかし、だからと言って景勝側ガ一枚岩だったかと言うとそうでもない。そもそも長尾家は一門同士の権力争いの歴史が長い。長尾景虎(後の謙信)も、兄を幽閉して当主に就いたほどだ。上田長尾家(当時の当主は政景=景勝の父)はその頃から長尾家からの独立色が強かった。長尾家が一門で争う結果、越後国内の豪族たちも合従連衡の日々だった。こんな状態の越後が統一されたのは、偏(ひとえ)に謙信のカリスマ性によるものであり、謙信没後は元の豪族連合体に戻っていたというのが実情だったのだろう。
▽ そして、御館の乱である。NHKの大河ドラマは万事「きれいに描きすぎ」である。
(1) 景勝の生母・仙桃院が「跡目争いが全面戦争にならないように自分が御館に居ることによって盾になる」と、景虎の元に居続けたと言う。現実、そんなはずがあるわけがない。もしもそういうことがあるなら、景虎は景勝の生母を人質に取っただけだ。それを「美しく」描こうとするから、こういう苦しいウソが必要になる。
(2) 景虎はついに降伏を決意し、一子道満丸を人質に差し出すが、道中何者かに襲われ落命する。これを兼続は「恐らく北条方の・・・」と言っていたが、そんなはずはない。実際にドラマで描かれていたように、景虎の降伏受け入れをよしとしない豪族も景勝側には多かったに違いない。もしも道満丸がそのような形で殺害されたのなら、景勝側の意図だったと見るのが自然だ。しかしそうストレートに描いてしまうと、主人公・景勝側に暗い影が差すため、「北条の仕業で」という、いかにも苦しい設定にしたのだろう。
▽ 今日見ただけでも、このようにいくつもの苦しいウソが見つかっている。この調子で全篇を見たら、僕は気が狂ってしまうだろう。。。
▽ 先日、電車の中で女子高生が「真田幸村のお姉さんって、織田信長に仕えていたんだねー」と話していた。そんなわけねーじゃねーか (ーー;) と思っていたら、どうやらそれも「天地人」の影響らしい。
▽ ドラマを通じて歴史上の人物・出来事にスポットライトが当たることは嬉しい限りだ。しかし、だからといってウソはいけない。いや、多少の脚色はいいとしても、せめて「フィクションです」とどこかに分かるようにしてほしいものだ。
▽ 大河ドラマが篤姫で「俗世ドラマ」化して、高視聴率を挙げたのは知っている。それに続きたい気持ちも分かる。しかし、NHKさん、忘れないで欲しい。あなたが扱っているのはあくまでも「歴史」なのです。史実を曲げてまで、視聴率のために歴史を「創作」しないで頂きたい。
▽ そんなに視聴率って大事なんだろうか。NHKという公共の電波の視聴率が高い必要があるんだろうか。そもそもNHKが「娯楽ドラマ」をやる必要があるんだろうか。お堅いドラマ、シブいドラマ、考えさせられるようなドラマ、楽しく学べるようなクイズ番組じゃ、なぜダメなんだろう。NHKの在り方そのものが問われる。
▽ しっかし、長沢まさみって、なんでいつも「忍び」なの? 功名が辻でも、同じようなわけの分からない架空の役を演じていなかった? 演じているご本人、せぞや複雑と思うんだけど・・・(-_-;)
by masatoshi-blog
| 2009-04-12 22:12
| 「雑感」